大学・学校づくり研究科 第1回定例研究会

「コミュニティ・オブ・プラクティスを生かすFDマネジメントの方法論」

神保啓子氏(名城大学)

平成20年5月17日



 本発表は、FDのマネジメントについての研究である。これまでのFDは、授業改善の方法論化の研究が主であったといえるが(例えば、ティーチングティップス(名古屋大学)や授業コンサルタント(愛媛大学))、マネジメントに関する研究はほとんど見られない。

 本研究では、マネジメントのためのコンセプトとして、Community of Practice(実践コミュニティ、COP)に注目する。COPの代表的な事例としては、インディアナ大学・パデュー大学が取り組んだ、一般教育のための教育研究組織がある。すなわち、ある取り組みが成功するか否か不確実な環境において、個々の取り組みが新しい価値を創造するためには、現場実践者による自発的なコミュニティでの活動と、それに持続性を与えるための組織的支援という形での取り組みが重要である。

 大学におけるFDを、実践コミュニティ中心で進めるに当たって、大学執行部はどのようなマネジメントモデルに基づいて行動すればよいのだろうか?現在、大学でも日常的に意識されるようになったPDCAサイクルも、代表的なモデルの一つである。しかし、PDCAは事前に明確にされた目標を実践へと移していくプロセスを示しているものの、どのように目標を創造するかのプロセスまでを明示したモデルではない。

 教育活動には、現場レベルで優れた取り組みが多くあるものの、それを組織レベルの行動目標とするには、合意形成の面で様々な困難が伴う。FDに関する新たな提案が、前例がない等の理由で計画倒れになるのも、そうした背景があると考えられる。

 名城大学では、執行部が計画化したい教育改善への取り組みに対し、まず既存の実践コミュニティへパイロット的活動のための支援を行い、一定の実績が蓄積された後に全学的なFDとして位置づける活動を行ってきた。これは、執行部が自らのイニシアティブで、学内における教育GPの種を開拓して育て、一定の成長を遂げた段階で、学外へもGPとして申請する活動を考えれば理解しやすいだろう。

 本研究では、この名城大学での一連の実施プロセスをPDCAを発展させたCOP-Vモデルとして提示した。

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