大学・学校づくり研究科 第1回定例研究会

「台湾教育フィールド調査成果報告」

山田佳毅氏
樋口義博氏
風岡治氏
難波輝吉氏
檜森茂樹氏
(名城大学大学院)

平成20年5月17日


 本報告では、大学・学校づくり研究科の授業の一環である教育フィールド調査の成果について報告する。調査メンバーは、台湾の大学をフィールドとして選定し、複数の大学の調査を通じて台湾の高等教育の現状を把握・分析した。特に、教育戦略の内容、教育戦略のPDCAの現状、職員の教育サービス向上策を中心に調査した。

 台湾は、日本と同様6・3・3・4制の教育制度を有し、大学の量的発展と質的発展の不均衡や大学評価システムの確立・教育財源の不足など、日本と同様の課題がある。また、大学の自律的運営機能の強化が求められているなど、日本と同様の高等教育環境の変化が起きていることから、調査の対象とした。

 調査では、台湾大学(国立)、真理大学(私立)、開南大学(私立)の3校を調査し、これらの事例を通じて台湾高等教育の現状を明らかにしたい。

 台湾大学は、国内トップの大学であり、政府による手厚い支援が行われている大学である。台湾大学では、毎学期に学長・副学長・各学部長ら学内役職者による戦略会議を1泊2日で行っている。これには、台湾の企業も参加しており、研究力は高いが教育力が弱いと言われてきた大学の、教育力強化を図っている。

 真理大学は、専門教育よりは教養教育を重視した大学であり、教員は必ず試用期間を経なければ正式採用されないなどの特徴がある。外部環境では、専門教育を重視した大学評価が進められる中で、頑なに教養教育重視を打ち出す点が、特徴である。

 開南大学は、学長のリーダーシップで運営されている大学であり、大学運営においても徹底したビジネス指向が見られる。学生の就職を重視した教育を行っており、インターンシップを正規の科目とするなど、学生支援に手厚いという評価を確立することで、学生募集力の強化を図っている。

 台湾では、少子化が学生募集など大学経営面に大きな影響をもたらしており、国策による国立大学の重点化と私立大学の淘汰が進む傾向にある。そこでは、学生の質の低下も指摘されるようになり、各大学は教員評価などを通じて教育力の強化が求められている。

 日本では、大学評価では第三者評価を主としているが、台湾では国が大学を評価し、補助金の増減を決定している。よって大学側は、国による評価に敏感に反応する傾向があり、私立大学では専門教育の重視による即戦力人材の育成に傾く傾向がある。これは、政府が専門教育重視の方針を持っているためであり、教養教育の衰退も深刻な問題となっている。

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