平成20年度 大学・学校づくり研究科講演会

「時代が求める私立大学職員像」

篠田道夫氏
日本福祉大学常任理事

平成20年7月21日



 今日の大学経営のキーワードは、二極化である。約580ある私立大学のうち23校に14万人の志願者が集まり、志願者は大手大学に集中している。残りの志願者を小規模大学で獲得している構図である。大都市を除くと、定員割れの大学が多いのが現状である。人口減でありながら政策的に大学数を増やす政策がとられ、二極化を推進する政策が行われてきたと言ってもよいだろう。

 経営上の採算点を調べてみると、学生数1000から2000人で採算点を超え、8000人から1万人の大学ではかなりのプラス収支であることがわかる。都市か地方かという問題よりも、規模の違いの方が、収支に大きく影響している。

 よい大学経営のモデルというものは存在しない。それは、各大学の歴史・規模・水準でマネジメントは変わるためである。しかし、いい大学経営の事例をみることはできる。例えば、大阪経済大学、広島工業大学、山梨学院大学、静岡産業大学、中村学園大学、福岡工業大学、日本福祉大学をここでは取り上げてみよう。よいマネジメントのモデルは存在しないが、先進校には共通点を見いだすことができよう。

1,戦略・計画・目標が明確に定められて運用している
2.強みを生かして実現する重点項目に資源を集中している
3.トップのリーダーシップは強いが、現場の意見を吸い上げる仕組みがある
4.トップを支援する企画部門に、優秀な教職員を配置している
5.戦略や計画がいかに具体化されている(事業計画・予算方針)=選択と集中が行われる

 このように見ると、強調したい点は職員の役割である。先進校では、教員との協働が進められていることがわかるだろう。そこで、大学職員の役割と育成を考える必要が生じる。

 大学に対する、ニーズ・要望・批判はまず現場にやってくる。しかし、そこから問題を発見して企画を発想・分析するには、職員にその力がないと起こらない。すなわち、大学職員の専門性とは、大学を実際に動かすことができる力であり、スペシャリストでもゼネラリストでもない。言い換えれば、いかに専門性があっても教授会を引っ張れなければ、職員としての力はないことになる。こうした職員は、年齢別や職能別の研修制度といった従来通りの方法で育成できるのだろうか。

 日本福祉では、企画書による研修を行っている。全てプロジェクト型の犬種であり、分掌ベースの個人評価も行っている。企画書は、能力開発のツール、業務目標管理のツール、人事評価のツールとして有効なものである。この研修では、チームで高い仕事に挑戦し、業務を通じて目標にチャレンジし、一連のマネジメントができるかどうか、新たな開発にどれだけ関与できるかどうかが求められる。この過程で、大事な提案を通す力が専門性として獲得され、データ調査や根回しといったスキルも身につく。

 戦略的経営とは、持続的に改革ができるかどうかであり、そこに二極化の分かれ道がある。そして、提案をできる現場の力があるかを問う必要がある。

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