大学・学校づくり研究科 第2回定例研究会

「学修サービス論 実践研究報告」

難波 輝吉 氏
山田 佳毅 氏
城 千景 氏
(名城大学大学院)

平成20年7月21日



 本研究では、学修サービス論の授業において行った、3件の研究発表を通じて、教育ニーズとそれに対する対応について考察する。

 第1研究は、名城大学人間学部における学納金システムに関する研究である。かつて大学は学生を選んでいたが、今や大学は学生に選ばれる時代となった。その際、同質の教育であれば、保護者は学費の安い方を選択すると思われる。人間学部では、単位従量制学費を採用しているが、その学費は履修科目数に関わらず支払う固定費部分と、履修科目数に依存する変動費部分がある。1,2年生は履修範囲上限まで履修するために、従量制によるメリットを享受するが、上級学年では履修科目数が大きく減り、必ずしもメリットを享受しているとは言い難く、人間学部における学費システムに改善点があることがいえる。

 第2研究は、専門学校をフィールドとした教育サービスに関する研究である。現代の学生は、社会生活で受動性が高まっており、教育サービスに対してもそれは同様である。すなわち、価値としての教育プログラムに加えて、付加価値としてのヒューマンサービスが、学生から評価される時代であるといえる。具体的には、目標を達成できる教育プログラムの提供に加えて、意欲的に学ぶ支援の提供が、学生から期待されている。A専門学校の事例では、学生に学ぶ意欲があることを前提とした教育をしており、意欲面での支援をほとんど提供していないことが明らかとなった。この問題の克服には、学生と関わる教職員の姿勢の変化が必要であり、教育サービスを提供する教職員間の相互理解を図る必要があるといえる。

 第3研究は、女子学生の学修支援に関する研究である。女子学生の進学需要は、引き続き拡大することが見込まれているが、それにふさわしい学習環境が提供されているとは言い難い。特に、理工系分野においてそれは重要な問題である。現在では、理系分野に女性が向いていないわけではないことが言われ、全国の女子大においてもしっかりした理系教育を行っている大学は多い。また、日本を含めて国際的にも、女子の理系選択を進める取り組みが多く見られる。しかし、現状では、女子の理系選択は化学系・生物系に偏っている。この変革には、職業間を容易にイメージできる環境が必要である。名城大学を例にすると、女子学生のモデルとなる女性研究者が少なく、受け入れる意志を表明しながら、その環境整備を積極的に進めているとは言い難い。名城大学では、女性研究者を理工・農・薬学部に多数配置する必要があるといえる。

 これらの研究を通じて、教育サービスの提供側は、多様な教育ニーズがあることを認識し、教育プログラムの実践に学生を巻き込む努力の重要性が明らかとなった。

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