大学・学校づくり研究科 第3回定例研究会

「私立高等学校における教員研修」

脇田 俊幸 氏

平成20年9月13日



 今日の私立高等学校は、かつてないほどの厳しい環境に置かれている。すなわち、15歳人口が一貫して減少し、向こう10年は現在の水準が維持されるという見通しの中で、経営の不安定要因を抱えている。具体的には、財政的な危機が深刻な課題であり、ある大学附属の学校では毎年1億円の赤字となっているケースもある。私立高校全体でみれば、収支が黒字の学校と赤字の学校がそれぞれ半数存在している。

 こうした状況に追い打ちをかけるように、学校の労働条件が悪化する傾向にある。具体的には、私立高校には公立高校に比べて非常勤講師の割合が高くなる傾向があり、多いところでは教員の半数以上が非常勤講師という学校もあるようだ。それに合わせて常勤教員が行う業務量は拡大しており、教育環境の悪化につながる懸念がある。

 このような状況にある私立高校において、教員が開発すべき能力は2つの方向にあると考えられる。一つは小規模組織のマネジメント能力であり、もう一つは質の高い授業を行うエキスパートとしての能力である。ここで、本研究ではマネジメント能力としては、トップマネジメントではなく、ミドルリーダーを開発していくことの重要性を主張する。

 公立学校でのインタビューでは、ミドルリーダーを入職10年から15年目、30歳代から40歳代の教員を指すと考えら得ることが多く、必ずしも職能を指さない現状があるようだ。私立学校においても、そのキャリアラダーは、基礎・専門・指導力・充実・円熟と考えられており、マネジメント領域が認識されておらず、マネジメント能力の獲得は個人の責任に帰されているのが現状である。

 ある私立大学の附属高校では、ミドルリーダーをどう育成しているのか。現状では、特定のクラスの担当教員、特定科目の担当教員対象の研修が提供されているものの、組織的な研修機会の提供はほとんどないのが現状である。その一方で、私学教育連盟がミドルリーダー養成の研修を提供し始める動きがある。今後、こうした学校外の組織が行う研修が果たす役割を明らかにする必要がある。

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