大学・学校づくり研究科 第4回定例研究会

「教育戦略の2大学における比較研究
− 日本福祉大学と静岡産業大学での実態調査 −」

小川 由美子 氏
熊谷 正信 氏
中村 康生 氏
二宮 加代子 氏
浦 雪 氏

平成20年12月13日



 本報告では、日本福祉大学と静岡産業大学の2大学を対象に、教育戦略を調査し、比較した研究について報告する。前者は教職協働の運営、後者は学長のトップダウンとして認知されているが、この2大学について、経営戦略、組織運営、教育、広報の4つの観点から教育戦略を検討する。

 日本福祉大学では、(1)戦略と業務が結合した事業企画書(人事制度の中核であり、重要課題の達成・解決手段を設計するもの)、(2)障害学習型ネットワークキャンパス(ITによるユビキタス学習と単位従量制学費)、(3)2008年度3学部同時開設(健康科学部を半田市と公私協力開設、アジアでの福祉研修を行う国際福祉開発部、こども発達学部)という点で、特色ある経営戦略を打ち出している。一方の、静岡産業大学では、(1)県民大学宣言、(2)方針管理制度(コミュニケーションを大切にしたトップダウンと業務報告書によるレポート)、(3)冠講座という点で、経営戦略上の特色を持っている。

 組織運営という点では、日本福祉大学では、2003年度から執行役員制をとり、政策決定・管理機能と執行機能を分離している特徴がある。また、40年前から全職員が参加する職員会議を行い、資質を向上させるための計画を作る一方で、図書館業務、入試業務、エクステンション業務、経理業務の分野でアウトソーシングを急速に進めている。静岡産業大学では、事務部門の教科なくして教学の教科はないとして、外部人材を積極的に採用している。学部長には、教職員を含めて、学部の自治を行う責任が与えられ、教育、研究、社会貢献の分野で実践目標を設置・検証しなければならない。

 教育面での特徴に移ると、日本福祉大学のオンデマンド授業の展開が注目に値する。ITによって初年次教育、キャリア教育、語学教育の授業を効率化し、手厚い支援が必要な学生の指導に資源を集中させる戦略をとっている。これは、通信教育の拡大にも貢献しており、現在は津学生を上回る学生が在籍している。静岡産業大学では、ティーチングメソッドの開発、留学生の就職支援に力を入れる取り組みをしている。

 広報では、日本福祉大学が特色ある取り組みを新聞などのメディアに積極的にだす努力をしている一方、静岡産業大学では、構成員全てを広報マンとなるよう特別な費用を掛けない広報を模索している。

 両大学では、(1)ミッションが明確、(2)実行計画が具体的、(3)経営と教学の政策が一致、(4)積極的な情報公開、(5)キーパーソンの存在という共通する特徴がある。両大学とも立地条件では不利な大学であるが、その分地域を強く意識しており、地域に必要な大学とは何かを考えることが特色ある大学づくりにつながっていると言える。

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