大学・学校づくり研究科 第5回定例研究会

「集合研修における受講者の変容についての一考察
   -鳥取県48・52歳対象の教員悉皆研修を対象として-」

金森 俊治 氏

平成21年2月21日



 本報告では、鳥取県が実施している、48歳および52歳の全ての小中学校教員を参加対象として実施した研修に関する考察を報告する。通常、参加が義務づけられている研修への参加意欲は低いと考えられ、また、48歳・52歳という教職キャリアからみればベテランに属する教員を対象とした研修では、一層の参加意欲の低さが予想できる。しかし、鳥取県ではこうした年齢層を対象とした全教員対象研修を実施している。この背景には、現在の教員年齢構成のピークが、48〜52歳にあり、かつ、将来の大量退職が予想されることから、この年齢層の教員の持つ技能と専門性を若手教員に伝達する必要性を認識したことが指摘できる。

 以下に、本報告で分析対象とする研修の概要を示す。実施は平成20年に開催され、合計3回の研修である。各回とも約360名の教員が参加し、ワークショップ形式で進められた。各回の間ではビジョン展開シート作成などの時間外課題が課される。3回とも参加者が回答した研修満足度は、80%以上あり、悉皆研修としては満足度の高い研修であったことがわかる。そこで、どのような要因が高い満足度につながったかを以下で考察する。

 まず、全体的な満足度の高さについては、ワークショップ形式による実施と、その中での参加者の気づきと納得を引き出す研修を行った点があげられる。従来の悉皆研修では、講義中心での実施と、各回の間での連続性に欠ける設計により、必ずしも満足度が高いとは言えなかった。また、ワークショップの中でも、特に参加者の気づきと納得を引き出すための工夫としては、次のような点が指摘できる。

 研修では、企画を一人ではなく複数で行い、多角的なチェックを行うことで、参加者に合った研修が可能となる。また、参加者のニーズに沿った研修が必要であるが、参加者自身がニーズに気づいていない可能性があり、より重要なことは研修の過程で参加者のニーズを引き出す設計を行うことである。また、実施側には、専門性に加えて高いファシリテータ力があったことがあげられる。

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