大学・学校づくり研究科 第5回定例研究会

「私大マネジメント改革に関する研究 -小規模大学の事例調査(中間報告)-」

増田 貴治 氏

平成21年2月21日



本報告では、競争的な環境が進みつつある高等教育機関において、教学と経営が組織運営における調整機能としてどのような関係であるべきかを考察する。特に、私立大学の経営システムの分析を中心に、いくつかの大学を訪問調査して得られた知見について報告する。

 平成19年時点で、大学・短大を合わせて37.1%の法人が、帰属収入で消費支出を賄えない状況となっている。これは赤字が続いている状況であり、18歳人口の推移を考慮すれば、長期にわたる存続が不可能な状況の法人が増えていると考えられる。そこで、これまでと異なるタイプの学生を受け入れて教育することになれば、大学では教育の質の向上や従来と異なる教育システムの開発が求められる。

 特に小規模大学では、短大を改組して4年制大学としている事例が多く、キャンパスの整備等に追われる間に、組織的なマネジメントが弱くなるというケースも多く見られる。ここでは、学生数2000名以下の大学を訪問し、20の戦略的経営の評価軸から考察した結果を報告する。

 学生募集で定員割れをしている北陸地方の2大学では、経営政策として、理事長通信の発行や改革課題の提示、将来計画委員会等の設置を経営側のイニシアティブで実施ししている。教学では、教育GPに採択されるとともに、教育の特色をまとめたブックレットを作成して高校へ配布するなどの取り組みを行っている。また、中期計画では、モニターするデータや数値目標、担当責任者を明確にした計画を立てるなど、優れた評価システムを有している。加えて、こうした情報を学内構成員や外部のステークホルダに丁寧に説明して、支援を要請するコミュニケーションを頻繁に行っていることが重要なポイントといえる。

 こうした経営が以前が、どのように有効か、どのような要因が有効になるかについては、今後の課題として研究を進めたい。

 質疑では、小規模校であるからこそ、組織全体で動き、大規模大学ができない特色ある取り組みが進められる可能性について議論された。

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