大学・学校づくり研究科 第6回定例研究会

「イタリア・デザイン教育におけるデザインと経営の結合」

熊谷 正信 氏

平成21年4月18日



 本報告では、イタリア・ミラノのデザイン教育の現状と課題を把握し、「デザイン」は大学の「プラン度構築」の戦略的手法として有効であるかを検証する。中でも、ミラノでデザイン教育を実施する教育機関(大学・大学院修士課程)とデザイン事務所における訪問調査を行った。具体的には、Politecnico di Milano、Scuola Politecunica di Designの2校と、Corteisi Design Officeの事務所を訪問した。デザイン教育、デザイン・ブランディング、デザイン・マネジメント、デザインと社会・地域連携の4つをキーワードとして調査する。

 イタリアでは、デザイン界と産業界の間をつなげるために、デザイン教育とビジネス教育の改革に取り組んでおり、国際的視野に立ったカリキュラム、地域・企業連携プログラムが確立されている点が特徴である。デザイン界とビジネス界の双方への教育を同時に重視しているが、デザインとビジネスが同時にできる人材の育成ではなく、他方をよりよく理解する人材育成が目的である点に注意が必要である。また、ここでのデザイン教育は、デザイナー養成教育を指しており、教養としてのデザイン教育ではない点に注意されたい。たとえば、ミラノ工科大学のデザイン学部には、ファッション、コミュニケーション、インダストリアル、インテリア、プロダクトサービスシステムを学ぶ専攻がある。

 一方、SPDでは、80%がデザイン教育を行っているが、20%がマーケティング、コミュニケーション、マネジメントなど経営的内容を教えている。この指導に関わったコルテージ氏によれば、企業の中にデザイン言語を理解させ、デザインの普及をになう人材の育成が必要であったこと、経営側にデザインの価値の理解を図るとともに、デザイナーにも経営側の考え方を知ってもらう必要性を感じていたという。

 これらの機関では、市場の国際化や国際競争を前提とした教育が実践される中で、英語によるデザイン教育にも取り組んでおり、国際的な学生募集を視野に入れた教育のグローバル化が期待される。

»一つ前へ戻る