大学・学校づくり研究科 第6回定例研究会

「学校裁量予算制度の実態と課題 -学校の裁量権拡大と学校財務制度-」

風岡 治 氏

平成21年4月18日



 本報告では、公立小中学校への財務に関する裁量権拡大のうち、学校裁量予算制度に焦点を当て、その導入の実態と、今度の普及と効果的制度運用の条件を検討する。公立小中学校の予算は、決められた予算が教育委員会から配分されるが、事前に指定された枠を超えて使用することができず、必要な教育への支出が困難であるケースも多い。また、校長の執行権限も小さく、教育委員会への伺いを立てながら執行せざるを得ない。

 こうした中で、中教審答申においても、学校裁量権の拡大と学校財務に関する答申が出ている。学校裁量予算制度とは、学校配当予算の執行計画の立案・執行・決算において、学校が独自の決定権や裁量権を持つ制度である。特に、学校の特色づくりなど、学校運営の効果・効率を高めるための、教育委員会への予算要求・編成・執行において学校の裁量を広げる試みであると言える。これについては、全国公立小中学校事務職員研究会によって、教育委員会、校長、事務職員を対象とした全国調査が行われており、これらを題材とした分析を行う。

 まず、学校裁量予算制度の導入状況を見ると、実際に平成18年までに導入したのは26.3%であり、必ずしも多いとは言えない。導入したケースについてみると、特色枠のみによる導入が大多数であり、人口30万人以上の規模の自治体で導入が多くなる傾向がある。こうした中で、教職員の学校財務に関する研修の必要性も高まっており、特に担当者では学校予算執行について、校長では財務マネジメントに関する研修ニーズが高い。

 学校裁量予算制度を導入したケースでは、大多数の校長・事務職員が、その効果があったと考えている。特に、校長は学校の特色づくりの面で、事務職員は効果的・効率的な財務運営の面で効果があったと考えいることがわかった。ただし、裁量予算を経常経費に補填しているケースもあり、そうしたケースでは先の効果は低くなると校長らは考えており、経常経費と区分けした予算を確保して配分することこそ、裁量予算制度が学校現場で有効なものとなる上で必要であろう。一方で、学校裁量予算の費目が限定されていることが問題とする意見も多い。

 この制度をより有効なものとする上で、学校の関係者の間での認識が異なっていたり、学校間の情報交換が進められることが重要である。

»一つ前へ戻る