大学・学校づくり研究科 第11回定例研究会

「教育機関に経営戦略思考を内在化する
- 学校法人名城大学MS-15のこれまでとこれから -」

鶴田 弘樹 氏

平成21年10月17日


 本報告では、名城大学が進める戦略経営について、担当者の視点から得られた知見について報告したい。

 名城大学の戦略プラン導入の端緒は、平成13年に理事長・学長が全事務職員に対して行った講話までさかのぼることができる。理事長から大学運営の中長期計画について議論する場の必要性について提案があり、平成15年に理事長・学長の諮問機関として戦略諮問会議の設置するに至っている。この会議が出した最終答申が、Meijo Strategy 2015(MS-15)であり、その内容は附属高校を含む全構成員へ配布されている。平成17年には、MS-15推進会議・推進室が設置された。

 こうした経緯で進められてきた戦略プランであったが、平成19年に1つの転換点を迎えることになる。その要因は2つあり、1つは、学長が交代したこと、もう1つは、現場の細かな指示を含む複雑な文書の簡素化が求められはじめたことである。

 戦略プラン導入期に得られた知見としては、次の4点があげられる。第1に、戦略プランはシンプルに示す必要がある。第2に、全学として基本方針を定め、詳細な設計は各部局に任せることである。第3に、目標達成の指標は、進捗指標に切り替え、プロセスに力点を置くことで、構成員の「やらされ感」を減らすことである。第4に、戦略プランを管理ツールとしてではなく、コミュニケーションツールとして活用することである。戦略プランを組織内に定着する取り組みとしては、次のようなことを進めてきた。第1に、全学の戦略プランのレポーティングに向けた情報収集活動として、年度末に各部署に活動報告を依頼している。また、それに基づいてMS-15活動報告書を作成し、構成員に報告している。

 こうして進めてきたMS-15だが、現在は戦略浸透のためのコミュニケーションに力を入れている。まず、各部署のMS-15について、常勤理事によるヒアリングを行っている。そこでは、昨年度の成果、今年度以降の重点施策についての意見交換を行っている。この場では、予算にとらわれない自由な議論、近視眼的ではなく長期的な観点からの議論が可能になった点で、意義があったと考えている。多くの場合、ヒアリングでは、どんな成果が出たか、何を達成したかを議論する査定の場となりがちであるが、ヒアリングをコミュニケーションの手法として活用することで、戦略の浸透が進むものと考えている。また、トップマネジメントへの研修、事務職員のミドルマネジメント研修なども進めている。

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