大学・学校づくり研究科 第12回定例研究会

「ユビキタス映像記録視聴システムを活用した
教職履修生の授業実践能力育成支援の試み」

平山 勉 氏・後藤 明史 氏・竹内 英人 氏

平成21年11月21日


 本報告では、距離や時間の制約を超える学びの環境づくりのその課題について報告する。具体的には、「良い授業記録」の蓄積・配信方法と活用の手立てについて、システム開発とそれらを導入した事例研究を重ねた取り組みについて報告する。この背景には、高度な専門性と実践的な指導力を有する教師養成がある。しかし、多くの教員は多忙であり、資質を高める十分な時間がとれないのが現状である。そこで、熟練教師を研究者が授業観察し、解釈したり、授業者の意志決定を明らかにすることの意義は大きい。こうした熟練教師のスキルの継承として、映像収録された授業をどのように見たらよいかという視点を研究者が解説する形で挿入した授業アーカイブを構築することを目指したい。また、校内研修の充実の一環として、時間や距離・場所の制約を超えた研修コンテンツの提供にもつながる。

 ここでは、プロジェクトの一環として、教育実習生を対象にiPodを利用したPodcastingによる教材配信について取り上げてみたい。熟練教師の授業を収録し、解説した映像をiTunes経由で配信し、教職課程の履修者に利用してもらう実践を行った。実際に利用した学生からは、繰り返し見られる点、PCを利用するよりも手軽である点、学び手にあった提示方法が取れる、児童の発言が聞きやすいといった声が得られている。利用に際して、iTunesのインストールを行う点が懸念されたが、近年の学生のコンピュータリテラシーや自宅での利用環境は向上しており、大きな問題とはなっていない。プロジェクトの進行において、当初メールで学生からの質問を受けていたが、同様の質問が多数寄せられたこともあり、ブログを利用してメールサポートと学生同士の知識と経験の共有を図っている。プロジェクトに参加した学生は、授業者の何気ない動作の背後にある教員の意図など、教員の力量向上につながる気づきを多く得ており、一定の効果があったことが伺える。

 このプロジェクトでは、自発的に学べる点、個人単位で日常的に研鑽ができる点、自分たちの学びを映像を通して振り返ることで教職への認識を再確認できる点などに関する効果が明らかとなった。

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