大学・学校づくり研究科 第16回定例研究会

「社会の変化からみる大学職員の今後の役割と新しいSDの方向性について」

檜森 茂樹 氏
(名城大学)

平成22年4月17日


 本報告では、大学職員の今後のSDの方向性について考えたい。その背景として、報告者自身の勉強会での経験がある。大学職員に関する書籍を多く読んでみたが、役割論やスキル論など、抽象的な言葉が多く、現場の多くの課題を解決できるものではなかった。そこで、現場で考えるSDの開発を指向することとした。

 近年、大学職員に関する定義が、研究者、法制度、中教審答申など、多くの側面から語られている。大学職員という言葉は、1970年台の「大学職員論の展開」という文献で登場したことに発する。この時代は、高等教育の量的発展により、職員労働組合からの職員論が出てきた時期である。これが90年台に入ると、高等教育政策の変化に伴う大学職員組織の機能に注目が集まることになる。しかし、90年台後半からは、大学を取り巻く環境が急激に変化し、大学職員の必要性に関する議論が登場する。2000年台に入ってからは、大学職員の役割と能力の明確化、能力開発について議論が始まり、この中でSDという言葉が認知されることとなった。こうして、大学職員は、労働者という位置づけと事務処理の効率化という役割から、プロフェッショナルという位置づけと創発型の戦略的業務遂行という役割へと変化したと言える。

 しかし、2000年以降、具体的なSD論は展開されておらず、理想とされる大学職員の役割と実態が乖離している。こうした中で、今後の大学職員の役割は、創発型の戦略的業務、すなわち、大学全体を視点に新しいものを教員と共につくる役割が求められる。そうした職員をつくってきた大学をいくつか見てみたい。

 ある大学では、育成のための場の設定を重視している。たとえば、自己啓発の費用支援、研修と実務を融合した課題達成型の研修制度を持つ大学がある。その重点的な対象は、若手・中堅の管理職前の職員である。これは、OJTのあり方が変わってきたと理解できる。従来のOJTは、定型業務の達成が目的であり、一定業務レベル以上の能力は開発されてこなかったが、いくつかの大学では、一定業務レベル以上の創発的業務を経験することで、OJTによる開発以上の能力開発を可能としている。これを、ここではOn-the-Job Development(OJD)と呼ぶ。

 今後のSDを考える上で、大学職員の成果を明確化する必要がある。その際には、事務領域固有論から脱却した、教職協働が必要であり、これが職員の仕事にどう教育的視点を取り込むかを考える上で不可欠である。

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