大学・学校づくり研究科 第19回定例研究会

「品川区における学校評価システムの構築過程とその課題」

木岡 一明 氏
(名城大学)

平成22年7月17日


 本報告では、品川区の学校評価システムの位置づけ、および、学校評価ガイドラインの改訂に伴う議論の推移について報告したい。品川区では、学校評価システムが、学校選択制や小中一貫校設置と一体で導入されたことに注目したい。品川区では、小学校から中学校へ入学する際に、クラスをまとめる経験をせずに進学する生徒が多いという問題があった。多い地区では7割の児童が、私立中学へ進学するケースもあり、中学校にクラスのまとめ役がいないという問題である。そこで、学校選択制は、保護者の学校へ関わっていく自覚を促す意図を背後に導入された。このような背景のもと、品川区では「成果基盤型の学校づくり」として、事後チェックに軸足をおいた学校経営を進めていくことになった。

 学校評価が教育政策の課題になることは、平成8年以降議論されるようになった、比較的最近の課題である。平成10年には、学者を中心に理論的な観点から学校評価の努力義務を提示することになったが、平成12年には教育関係者以外のメンバーを中心とする会議から、外部評価を含む学校評価制度が提案されることになる。この後、いわゆるPISA調査結果をきっかけに、ゆとり教育批判、学力低下懸念が議論されるようになり、また、税制改革の一環から義務教育費国庫負担全廃の議論も出てきたことで、第三者評価試行、学校評価義務化、教育委員会評価の義務化へと進んできた。

 こうした国の教育改革の流れは、必ずしも積極的に進められてきたとはいえない中で、品川区は外部評価、第三者評価へ積極的に動いてきた。品川区の学校評価システムは、3つのステップに分けられる。第1ステップは、外部評価の導入であり、地域協働の学校づくりを意図していた。この進展の中で、外部評価委員会を組織すること、その委員長に学識経験者を置くことを主張することで、学校が外部の声に振り回されない評価づくりが蓄積された。一方で、地域から学校への問題提起をストレートに行うことが難しいことから、第2ステップでは、学校経営、教育課程、法務、財務について専門外部評価を試行した。この4領域は、学校評価の基本軸である、この枠組みの浸透という効果があった。第3ステップでは、この第2ステップの実施となる。

 専門外部評価の導入は、学校管理職の責任と自覚の啓発や、学校経営に対する専門的支店の浸透の面で効果的であるが、カリキュラム評価としての機能が弱いという課題が残る。

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