大学・学校づくり研究科 第20回定例研究会

「地域との協働による学校づくりと共同実施の新たな展開」

風岡 治 氏
(一宮市立中部中学校)

平成22年9月18日


 本報告の目的は、これまでの学校と地域の連携、学校と地域・家庭のあり方を見直し、新たな協働基盤としての学校を考えていくことにある。特に、教育支援の共同実施についてと、協働基盤における事務職員の役割について提案したい。

 まず、さまざまな教育課題への取り組みの1つに小中一貫教育がある。ここでは、具体的にどのような事例があるかをみてみたい。品川区の小中一貫教育では、教職員間の連帯感を高めることに力を入れている。いわゆる、中一ギャップの問題は、中学校の問題でなく、小中両者の問題としてとらえ、連携で考えるとりくみである。宮崎県五ヶ瀬町は、義務教育一貫教育として、小中学校6校で一貫したカリキュラムを編成している。一般に過疎地で学校間が離れている環境下で、取り組まれている事例である。地域連携では、学校支援地域本部やコミュニティースクールなどの例が多い。地域ボランティアを活用した子供たちへの指導や、体験的指導では子供たちとの交流を深め、人間性を育む取り組みが多い。これらでは、得られた知識や気づきを生活や社会の中で行かせたという評価がある。三鷹市立第五小学校では、教育ボランティアからNPO法人の自立した組織となって、学校の枠を超えた活動を行っている。町づくりの観点からは、習志野市立脇ッ小学校の例では、学校行事と地域の行事が一体となっている。宮崎県五ヶ瀬町では、学校が町役場機能を持つ取り組みを進めている。これまでの学校連携は、必要なときに力を借りる・貸すというものであったが、これらの事例からは新たな取り組みが見られる。

 各地で新たな連携が進められているが、なぜ未だに試行錯誤の段階を抜けられないのか。文部科学省の調査では、教職員の意識改革、責任者の人材確保、学校経営の中核を担う年代の変化などの問題が指摘されており、ヒト・モノ・カネの不足に関する課題がある。これは、固定化された地域連携のイメージをいかに打破するかの課題でもある。ここでは、今日求められている教育という観点で、地域連携を考えてみたい。21世紀は知識基盤社会と言われ、その中で生き抜く力の涵養が今日の教育の目標の1つである。学習の場や年齢を限定せず、課題の多くが地域に根ざしていることから、生涯学習が重要になりつつある。ゆえに、課題は生涯学習社会の基盤整備である。地域住民の自己実現の場としての学校へ変容することが期待されていると言えよう。新しい学校の役割としては、地域コミュニティの核、すなわち、地域に目を向けて教育支援を通じて情報を取り入れ、地域に根ざした特色ある教育づくりが求められている。地域住民は子供たちに地域の将来の担ってほしいと考えており、その実現が学校に期待されている。これは、1学校で取り組めるものではなく、ここで地域連携の重要性が生じる。

 地域との連携とは、単に学校と地域が関わることではない。学校と地域の双方にとってマイナスの取り組みは、いやいやながら取り組むもの、学校にとってマイナスだが、地域にとってプラス連携は、責任転嫁の連携、学校にとってプラスだが、地域にとってマイナスの連携は、学校支援の連携で、これまでの地域連携の多くはこのタイプであった。学校と地域の双方にとってプラスの関係は、地域協働であり、これを積み重ねることで地域共同経営につながると考えられる。では、学校と地域の信頼関係をどう築いていけばよいのか。まずは、学校が地域を理解することが必要であり、子供たちがどのような環境で育っているのかを知ることである。これは、学校評価を通じて知ることができ、地域との重要なコミュニケーションツールとして機能し得る。また、学校行事への参加を通じても地域が子供を育てている実感を得る上で重要である。

 新しい学校像の実現には、事務職員による業務領域の拡大、教員との共同研究が不可欠である。現在、処理的業務が中心であるが、そのことが経営や教育の業務を分かりづらくしており、学校経営に関わることがどういうことが理解できない職員も多い。学校事務職員には、教育課程の編成実施・評価に関わるという、間接的教育活動という概念を提示したい。教員による直接的教育活動と一体となって、新しい学校像の実現を進めるものである。授業の成立には、教師と子供だけでなく、教科書、教材・教具、施設設備の整備が必要であり、モノ・カネという経営資源の投入が必要である。また、子供の学習に関するデータ収集と整理・分析も必要であり、マネジメント業務の一環である。これらが、間接的教育活動であり、地域との連携の強化、地域の資源の活用もこの範囲に入る。すなわち、事務職員が地域連携を設計し、実施していく核として活躍する必要である。

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