大学・学校づくり研究科 第20回定例研究会

「我国の大学の海外研修校における現状と課題」

原田 幸子氏
(名古屋大学大学院)

平成22年9月18日


 本報告では、日本の大学の海外研修校の課題について考察してみたい。海外からの留学生受け入れが進められる一方で、日本人学生の海外留学推進はどのようになっているのか。海外研修校を将来的に発展させる方策を考えてみたい。

 1990年前後に多数創設された日本の大学の海外研修校(分校)は、現在も日本の本校からの学生の語学研修施設として、提携大学との施設・建物の共同利用、教育課程の単位互換と学生交流・共同研究などの目的で存続している。しかし、バブル崩壊後、留学ブームの下火と共に、2000年以降は閉校が相次いでいる。文部科学省の調査では、2005年時点で、海外教育施設等の設置例は、教育施設が7校、研修・研究施設が25校、国際交流施設が2校となっている。学推進策は各大学でどのように推し進められているのだろうか。今日は、海外研修校を擁する大学は、学生の海外進出のための機会を提供する新たな戦略を構築する時であろう。

 我が国の大学の海外校の規定については、「学校教育法施行規 則等の一部を改正する省令」が平成17年4 月1日から施行され、海外校については「我が国の大学が外国において教育活動を行う場合、大学設置基準等を満たしたものについては我が国の大学の一部と位置付けることを可能とするため制度を整備するもの」としている。現在の海外校の設置規定の概要としては、大学・大学院・短期大学は外国に学部・学科・研究科・専門職大学院・専攻の一部を設けることができ、改正前の設置基準では外国における授業の履修や教育研究活動が可能であったものの、学部等の組織を海外にもつことが出来なかったことが、大幅に修正されている。無論、設置には届出が必要であり、設置後は設置計画履行状況調査および認証評価の対象となる。

 これは、再び大学の海外進出を活発にする可能性がある。ボストン昭和女子大学は1988年に創設以来20年以上に亘り、その広大な敷地や立地を最大限に活用し、万全の体制のもとで維持管理されてきた。平成16年度に採択された現代GPにおける活用方法や、同年開設の「Briti8hE;choolofBo8ton」の誘致、東京の施設内では成19年に「British School in Tokyo 昭和」の開設など、東京とボストンという立地条件の良さと文学部・英文科主体のカラーを強く出しながら、施設の運用を進めている。昭和ボストンは、昭和女子大学の一部ではなく、株式会社の非営利法人の大学として設立されている。アメリカでの設置認可を得た現地の語学研修校として、学生や生徒が受けた授業を日本で単位の読み替えを行うものと思われるが、Commission on English Language Program Accreditation(CEA)から認可されている。今後、規定改正のもとに大学の海外進出が再び活発になる可能性があるか否か、今後の推移に注目したい。

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