大学・学校づくり研究科 第23回定例研究会

「学校運営協議会で学校運営はどう変わるのか
- 委員としての活動の経験から -」

片山 信吾 氏
(名城大学)

平成22年12月18日


 本報告では、学校運営協議会に関わった経験に基づき、保護者や地域住民が学校運営に参画することについて考察したい。学校運営協議会とは、協議が主な役目で決定には関わらないが、学校運営の基本方針の承認や、学校運営について教育委員会や校長へ意見したり、教職員の任用に関する意見をする場合もある。欧米では、地域住民や保護者代表が学校運営に関わり、財政や指導方針を決めていく制度がある。一方で、日本の学校運営協議会には権限がなく、中途半端な位置づけである。しかしながら、社会が大きく変わる中、これまでの概念や枠組みで今の現象を捉えても意味をなさず、可能性をつぶす危険性もある。そうした中で、これまでの学校運営上新しい取り組みを積極的に評価する必要があるだろう。

 愛知県内のある市では、平成18年度より文科省の学校運営協議会調査研究指定校に指定され、平成19年度より本実施された小学校がある。この学校は、市の中心近くに位置し、31学級、生徒数1000名以上の大規模校である。喧騒的雰囲気があり、荒れ野問題があった時期もあるが現在は落ち着いている。平成22年度時点での学校運営協議会は、学識経験者3名、地域住民3名、保護者3名、市職員2名、指定学校等の教職員3名と校長の15名で構成されており、平日の夜に開催され、委員の出席率は高い。各委員は人選による部分が大きいがほとんどの委員が活発に議論し、校長の対応も丁寧である。協議会は様々な事を協議するが、基本的には学校経営方針を協議する。具体的には、学校行事、学校ボランティア、施設設備関係の予算要望、学校評価、学力テストの結果等である。

 この中で、施設の増築が教育委員会から承認されない問題を、実際に担当者を呼んで議論する機会を設けることがあった。協議の中で結果的に要望は通らなかったが、学校側から教育委員会に要望しにくい事項を協議会が力強く要望することは、校長を力強く支えるものであり各委員も協議会のメリットを感じられる契機となった。ただし、学校運営協議会は形式上学校の中に置かれているものの、実際はその雰囲気は学校の外に置かれ、中間的な位置にあると考えられる。この協議会が蓄積してきた経験は大きく、制度の廃止が報告された後にも、会長や校長からも存続の要求がでたことがある。

 これらの事例から、学校運営協議会は、学校と教育委員会の中間的な位置にあり、両者の緩衝や支援の役割を果たせる可能性がある。欧米型の権限を有するボードシステムと比較する議論もあるが、必ずしも欧米型を目指す必要はない。この事例でわかるように、今後の学校と保護者、地域による協働的な学校運営の形態を探る上で、積極的な評価ができる取り組みである。

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