大学・学校づくり研究科 第26回定例研究会

「高浜中学校における学校経営実践」

星野 芳徳 氏
(元愛知県高浜市立高浜中学校)

平成23年4月16日


 本報告では,学校経営の経験に基づく学校づくりについて紹介したい。報告者は,高浜中学校で教務主任を5年務めたが,その当時はマンモス校であると共に全国的に学校があれていた時代であり,空き缶を持って歩くと一杯になるほどのたばこの吸い殻がたまる時代であった。それに加えて,不登校にさせられた生徒への特命対応,PTAの総会対応なども担当していた。その後,市教委の指導主事となったが,当時は市職から教育長になった神谷教育長時代であり,市長の期待も伴い新設小学校開設準備室長として,構想草案,PTA組織づくり,通学路・通学班づくり,教員人事などを経験した。この小学校は,学区住民の期待が強く,伝統というしがらみもなく,自分たちが選んだ教員集団という強みがある一方で,新興住宅地ゆえの児童・保護者の横のつながりの薄さ,校長が市外から来るという弱みを併せ持っていた。しかし,これらの特徴があるからこそ,地域の人材を活用することが重要であった。開校前はPTAと子供会が,開校直後は子供会,地区住民,保護者が通学班づくりや図書館開館を支援した。ここでの役割は,多くの人と率直に話をすることと,毎月の学校便りの発信であった。こうした経験を踏まえ,その後学校教育課長へ戻った際には,学校,教育委員会,首長の軋轢をなくすことこそが重要と考え,その解消に尽力した。校長会と教育委員会とでの懇親会なども行った。

 こうした経験を経て高浜中学校へ校長として赴任することになった。まず,校長として取り組んだことは学校経営上の重点目標の明確化である。具体的には,恥ずかしいを実感し,自制する生徒を育てる,生徒一人一人の学力の定着を図る,地域に開かれた学校を目指すの3点である。それまで20以上ある重点目標から,教職員がすぐに覚えられるレベルに絞り込んだ。また,やらされる校務分掌から意志を持って行う校務分掌を意図して,いくつかのアプローチを心がけた。具体的には,押印した起案書にはどんな反発にも廃案にしない,案の修正には協力を惜しまない,教員を公式の場でほめる,積極的に飲み会に参加する,些細な失敗をしからず優しく注意するなどである。

 もう一点校長として尽力した点に,学校評価を活用した学校経営を進めることである。学校関係者評価の実施においては,小学校児童の保護者も加え,学校経営の状況や課題を包み隠さず開示することで信頼関係の構築を進めてきた。こうした実践を経て,若手の育成をすることができた。5年間で15人以上の新任教員が赴任したが,これはそれだけ中堅が流出したことを意味する。若手の育成こそが課題であったが一定の成果を出すと共に,ここで育った教員がしないの田の学校で力を発揮している。振り返ると,人脈に助けられた経営実践であったが,学校教育は生徒と教職員と保護者の三者の関わり合いの活かし方が柱であり,リーダーシップとは信念を曲げずに学校経営を進められることと考える。

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