大学・学校づくり研究科 第35回定例研究会

「教育実践に有効な教員教育システムと校内体制」

姜茜・柴田千登勢・下村美弥・鈴木洋平・林聖子
(名城大学)

平成25年5月11日


 本報告では,星槎名古屋中学校で行われる教育実践について調査した結果について報告したい。中学校の不登校生徒数は,平成12年度以降2%台後半を推移しているが,そのきっかけはいじめや友人との人間関係,学業・進路・部活動への不適応などさまざまなものがある。星槎名古屋中学校は,不登校等の問題を抱える児童・生徒の指導を行っているが,その教育システムに注目して調査を行った。具体的には,教員として必要な能力,校内体制,および,管理職の教員評価を中心に校内体制の調査を行った。

 星槎名古屋中学校では,発達障害の診断を受けている生徒は1割強であり,転入生の8割がいじめによる不登校経験を有している。これに対して,学校では1クラス2名の担任体制を持ち,その多くは星槎グループ内の学校で教員経験を持つ教員が多く配属されている。教員の育成については,星槎グループの法人本部で初任者研修を年3回,教員研修を3,5,10年目に行っている。星槎グループのどの学校へ行っても指導可能な力量を身につけることを目的としている。これ以外に,校内研修として研究授業,事例検討,授業研究を行っている。ただし,Off-JTをイメージする研修であるが,そうした機会は年に数回程度しかなく,むしろ事例検討はその日の出来事や対応,成果・課題を教員間で共有しており,OJTとしてほぼ毎日ケーススタディを行っている。星槎名古屋中学校では,通常,学校に設置されている校内委員会を意図的に設置していない。これは,全教員が全生徒の担任であるという考えの下,あらためて名前だけの委員会を置く必要がなく,毎日の終礼において事例検討会を行っており,OTJで問題行動への対応を学び,教員の力量を高める機会が設けられている。すなわち,特別支援の実践を特別なものと行わず,教育実践の一環として行っていることが特徴である。

 このように,全ての学校教育活動現場で,特別支援教育の手法が徹底して実践されていると共に,毎日の事例検討会を通じて教員集団の方向性が統一され,こうした基盤の下で,丁寧な学習指導を可能としてる。この特徴は,不登校児童を5年間でゼロとした寝屋川市立和光小学校の事例とも,いくつかの共通点が見出せる。具体的には,児童生徒理解の重視,学習指導の重視,定期的な事例検討会の機会といったものである。これらから優れた教育実践は学校種や設置形態に依存せず,教員の育成と校内体制の工夫によって実現できることが示唆される。

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