大学・学校づくり研究科 第35回定例研究会

「学習指導を重視した生徒理解と生徒指導」

水野 髙保 氏
(星槎名古屋中学校長)

平成25年5月11日


 本報告では,星槎名古屋中学校の教育実践について簡単に紹介したい。ペアレントトレーニングと言われるが,一般論として教員が親を啓発するといった,相手を批判する態度は,原則として望ましくない。学校の指導範囲を丁寧に説明し,手の届かない範囲についての指導を家庭にお願いする,その結果,学校も親も協力して子どもを理解し,育てていくというスタンスが重要である。星槎名古屋中学校では,子どもの理解に力を入れている。また,何名の生徒が廊下を歩いているかなど,日常的な校内に関する全ての情報を保護者に対して開示している。子どもの理解のために,校長や外部講師を招いた講演会も頻繁に開催している。学校は,保護者に対して協力してやっていきたいという姿勢を見せることが肝要だ。

 教員の採用にあたっては,ペーパーテストを一切行わないこととしている。模擬授業と面接を繰り返し,最終的に子どもが好きかどうかで採用の判断をしている。模擬授業の観点は,子どもを授業の中でどう活かすかを特に見ている。一方的に講義をするような方は,本校には向かないだろう。不登校対応の学校というと,多くの方は抽出指導,個別指導を思い浮かべるようだ。しかし,本校ではそうした指導は原則行わない。子どもにどう目標を持たせ,その実現のためにどうコミュニケーション能力を高めるかという意味では,個別指導を行うが,本校へ来る生徒の多くは,基礎学力の高低に関わらずコミュニケーションの面で何らかの問題を持った生徒である。そうした生徒には,集団の中での経験こそ重要であり,抽出して個別指導することには意味がない。在籍中に,コミュニケーション能力を高めることが,指導上の重要な課題である。このことは,本校が中学校のみである点に関わる。系列学校では,中高一貫校があり,そうした場合は高校卒業をめざした指導が可能になるが,本校の場合は卒業生を高校へ送り出さなければならない。その際,学力試験に合格できることと,進学後の集団生活に適応することの2つが,極めて重要な課題となる。そのために,本校では学習指導とコミュニケーション能力の育成に力を入れている。

 学習指導は極めて重要である。どんな学校でも,生徒指導に力を入れるよりも,どんな生徒でもわかる魅力的な授業をつくることに力を入れる方が,子どもも学校も大きく変わることにつながる。そのため,授業研究には特に力を入れている。全ての教員は年1回校長の指導の下で授業研究を行うほか,定期テストの問題も校長が問題の妥当性を全てチェックしている。これ以外にも,子どもの様子は毎日の終礼で事例検討を行うと共に,各教員がPCに子どもの様子を記録し,全ての教職員がその記録を参照できるようにしている。研修は重要であるが,抽象的な研修では中堅以上の教員は変わることができない。具体的な事例に沿った検討が,研修の内容として適切と考えている。

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